ブレイク-エイジ外伝
     虚構世界の真実


    Ver3.2  「大地を統べる者」


 コニーパレス川越店。
 川越駅の北側に立つアトレの中を通って行くと、正面に見えてくる。アーケードと百貨店に囲まれた立地条件から、一見さんのプレイヤーも多い。
 昔は、学生服のままで帰りがけに繁華街に寄ったりしようものなら、あっという間に、補導員につかまったりしたものだが、最近はそこまで厳しくない。流石に夜中に繁華街をうろついているのは拙いが、6時ぐらいまでであれば、どの学校も大目にみているようだ。

「エントリーよろしく」
「第5バトルロイヤルでよろしいですか?」
「ええ」
「では、2番コクピットでお願いします」
 当然学校の帰りなので制服のままだが、回りにもちらほらと制服の者もいるのでそう目立つわけではない。
 多恵香はエントリーを済ませると、飲み物を持って、ソファーに腰を下ろすと、正面に幾つか設置されている大型スクリーンに目をやった。そのうち最も右側のディスプレイ。そこでは、見慣れたフルカスタムのクロウラーと初めて見る重装甲のボルゾイが、一騎打ちを演じていた。
 クロウラーの方は、キャタピラーを一輪の巨大な不整地用装甲タイヤに取り替えている、非常にバランスの悪そうなVPだが、左右に見える6機の姿勢制御スラスターが微妙な姿勢制御を行っているので、見掛けを裏切ってかなり高い安定性を生み出している。次々と襲ってくるマイクロミサイルを蛇行してかわして行くようすは、まるでバイクにまたがったライダーを彷彿させる。
 速度が速いと言うのもあるが、マイクロミサイルを全弾避けきった腕は、なかなかのものだ。さらに今回の戦場は、どうやらなだらかな丘陵地帯らしく、このような平面のステージにおいて、そのVPがとてつもない戦闘力を発揮する事を、そのVPを知っている者達は非常に良く理解していた。
『スタンピート』
 “とある走り屋”を称するRUNNERが駆る高機動VPで、この圏ではかなり有名な存在だ。
 ある種の限定されたフィールドによっては、「ウラヌス」や「パラディン」をも上回る戦闘力を持ち、その知名度の高さは、極地戦用VP「スタンピート」の特異な形状もさることながら、彼がカウンターハンターを気取っていた事にも起因している。
 その「スタンピート」とRUNNERが追い込まれていた。それも彼の得意なはずの地形で。
 多恵香だけではない。彼を知るVP乗り達の視線が中央部のメインディスプレイを凝視していた。
 相手は、重装甲のボルゾイのように見えるが、その機動力は市販のボルゾイを明らかに上回っている。ほぼ間違いなくフルカスタムのVPだろう。バックパックには両肩に担ぐように二門の大口径砲。左右の脚部にはマイクロミサイルポッドが装備されており、両腕に狙撃可能な対戦車用アサルトライフルを抱えている。

 ドォォン

 また「スタンピート」を爆風が吹き飛ばす。どうやら直撃ではなかったようだが倒れてしまうと置きられないという、結構間抜けな弱点を持つ「スタンピートにとっては致命的だ。
 何とか姿勢制御して着地するが、そこを見計らったように、アサルトライフルの攻撃が来る。避けきれなかったが何とか側面からの攻撃を機体をスライドさせてもっとも装甲の厚い装甲タイヤの前面部分で受ける。
 その様子をディスプレイで観戦していた者達から、微かなざわめきが広がり始めた。今のステージのような、なだらかで見通しの良い地形では、スタンピートのスピードと機動力がフルに発揮される。それなのにRUNNERは、何故か「スタンピート」をゆっくりと動かしていてるのだ。それはあまりにも彼らしくない戦い方だ。別のパイロットが乗っているのではないか? と言う声まで上がりはじめる。
 そのときディスプレイの中の「スタンピート」が唐突に右腕のファランクスアームを使い、弾幕で辺りを薙ぐ。そして徹甲弾が打ち込まれた地面は次々と爆発を起こした。「スタンピート」はその爆煙が収まる前に、全力で突っ込んで行く。今までのうっぷんを晴らすかのように、豪快な走りで、いったん距離を取るつもりのようだ。

「地雷?」

 多恵香は、自問してみた。これで、らしくない戦いをしていた事の説明はつく。だが、何か引っ掛かるものを感じたのだ。
 ちらりと回りに視線をめぐらすと、他の凝視していた連中は一息付いて気楽に観戦している。が、その中の何人かは未だに凝視している。

「・・・あのRUNNERが地雷原にはまっただと?」

 微かにそんな声が耳に届く。
 その言葉が違和感を説明してくれた。「スタンピート」の特徴をもっとも良く理解しているRUNNERが、地雷原に気を配って無いはずが無い。
 それなのに地雷原にはまったという事は・・・。

「追い込まれた?」

 だが、多恵香のその考えは少し違っていた。それに気が付いたのは、カスタムボルゾイが遠距離から肩の大口径砲で、砲撃をかけた後の事だった。
 どうやら弾道兵器のたぐいではなく、グレネードなどのたぐいのようだ。弾は次々と放物線を描いて「スタンピート」をめざし、着弾前にその上空で爆発した。
 煙幕とともに周囲に降り注ぐ破片が涙滴型をしてるのに、メインディスプレイを見ていた何人かは気付いたようだ。少しづつ、ざわめきが広がっていく。

「あのVP、地雷の敷設機能を持ってるの?」

 唖然としながらも、多恵香もぼやきが口に出てしまう。
 またしても立ち往生した「スタンピート」に、カスタムボルゾイは正確な射撃でダメージを与えていく。もう勝負は決まったようなものだが、敵はスキを作るつもりはないらしい。
 そうして何度目かの直撃のあと、不意に「スタンピート」が消えうせた。目標を見失ったアサルトライフルの追撃が地面をえぐる。

ガシュゥゥゥゥ

 音を立ててTOWERからコクピットが輩出される。どうやら全損にされる前に負けを認めてリセットしたらしい。

「ああ、負け負け」

 コクピットからヘルメットを脱ぎながら大男が立ち上がる。
 そして彼の真上に位置するメインディスプレイに勝利者が告知された。



THE DENGER PLANETS Ⅲ

WINNER
MAY and AREAMASTER

IN TURUGASHIMA

DEGGER



「鶴ヶ島?」

 その店名は彼女のホームグラウンドを表している。だが、MAYと言うパイロットネームは聞いた事がない。

「よう」

 唐突に掛けられた声に振り向くと、カウンターからRUNNERが歩いてくるところだった。

「おまえのホーム、鶴ヶ島だったよな。知り合い・・・じゃなさそうだな」

 リプレイを見ている多恵香の雰囲気から悟ったのか言葉をとぎれさせると、多恵香の横にどかっと腰をかけ懐から取り出した煙草を咥える。

「私のそばで煙草を吸う気?」

 その言葉に、ライターから火をつけようとした姿勢で一瞬かたまり、ばつが悪そうに火を消し、ポケットにしまった。以前、煙草を吸いながら、ふざけて言い寄ったあげくに、殴り倒された事のある身として、同じ失敗だけは繰り返したくないのだろう。
 本田 哲(ほんだ てつ)。本職も年齢も知らないが、VPとバイクの腕が逸品なのはまちがいない。均整の取れた体躯の持ち主で、いつもライダースーツに身を包んでいる。

「逃げ回ったあげくリセットとはね」

 自分のバトルのリプレイを見ながら火の付いていない煙草を揺らしていた本田に、多恵香が聞えるように小声で呟いた。
 ピクッと震える本田を伺いながら、くすくすと笑う。
 明らかにからかっている。こういう所は聖にそっくりだ。これで、もし喧嘩に強くなかったら、まず間違いなく苛められる側であった事が容易に想像できる。

「・・・・おまえの性格の悪さは知っていたが、おまえからそういう風に話しを振るか?」

 哲は口を塞いでいた、火の付いていない煙草を手に取ると、多恵香をジト目で睨む。

「え???」

 キョトンとして横に座る大男を見やる。そういう表情は意外と幼い。哲は、ニヤリと笑みを浮かべる。

「真光寺はここから入ってた」

 その一言が、劇的に作用するのを哲は観察できた。一瞬、何の事かと考え、唐突にそれが誰の事をさすのかわかったのだろう。急速に不機嫌になり、プイッとそっぽを見る。
 ほんの五秒間ほどのでき事だ。
 相手にお返しをして気がすんだのか、哲はまた煙草を咥えて、リプレイに目を戻した。
 ちょうどリプレイは、「スタンピート」が地雷原を脱出した所を映している。

「やっぱり奴さんが地雷をセットしてやがったのか」

 こんど先にしゃべったのは、哲の方だった。ディスプレイの中で砲弾が爆発するのを見てそう呟く。

「気付いてなかったの?」
「中からじゃわからねえよ、あれは。うすうす感付いてはいたがな」

 多恵香の問いに本田が答える。

「あの煙幕弾。見た目は変わらんが通常の煙幕弾じゃねえ、あきらかに組成が変えてある」

 哲はリプレイを“観察”しながら話を続ける。メインディスプレイでは、再度「スタンピート」が追い込まれている所で、その周囲を着弾した弾から噴出したのか黒い煙が包み込もうとしている。

「あの煙幕はレーダーや赤外線探知も阻む、いわゆるチャフってやつだ。完全に目隠しされて回りに地雷ばらまかれりゃ、俺のスタンピートやクロウラーみたいな車両型は、完全にお手上げだよ」

 実際に手をあげるジェスチャーを取りながらソファーの背もたれに全身でよっかかった。

「あんなのが普及したら、おまえさんのウラヌスみたいな高機動型は良いが、アリゾナみたいな“スケート”を装備してる奴や重量級の機動力を削ったタイプは、辛いなぁ」
「・・・地雷なんて動かなければなんとでもなるんじゃないの? 後は飛び越すとか」
「そんなことは奴さんだってわかってるだろうよ。あのVPの武装は、完全に遠距離での打ち合いを重視したもんだ。敵の目の前で飛び上がればアサルトライフルの洗礼を食らう。それも装甲の薄い下面に・・・」

 考えてみれば、あたりまえの話だ。多恵香自身があまりにも乗る機会のないVPなのでつい失念してしまった。
呆れた様子の本田に、慌てて取り繕うと言葉を探す多恵香だったが、ろくな言葉が思い浮かばない。

ただいまより、デンジャー・プラネット3第五バトルロイヤルを行います。エントリープレイヤは、至急指定のコクピットにお入りください。


「あ、私これにエントリーしてるから」

うむも言わさずにそれだけ言うと、そそくさとソファーを離れる。どうしようもないので、ともかくこの場から逃げだしにかかったのが見え見えだ。哲はニヤリと笑いながら、席を立つ。

「な、なによ」
「いや、俺もエントリーしてあるのよ」

 本田は、振り向いて睨みつけてくる多恵香を、軽くあしらうと、多恵香の横を、だるそうに通り過ぎていく。多恵香も、一瞬躊躇したものの、その後を追ってタワーへと向った。




「まったくなんであなたなんかとタッグなんて組まなきゃいけないのよ!」
『しかたがないじゃないかもう組んじゃったんだから』
「私は認めてなぁい!」

 目の前に迫るカスタムハウラーの腕をすれ違いざまに切り落としてから、TENは鬱憤をタッグパートナーに叩きつけた。

『つれないなぁ』

 絶対に笑ってるに違いない。
 TENは声の調子から決めつけた。そしてウラヌスを振り替えさせてみるが、手負いのハウラーはすでに、スタンピートが餌食にしている。
 一瞬、スタンピートに狙いを定めるが、ため息をついて照準をはずした。
 なんでもありのバトルロイヤルとはいえ、そこにも不文律のマナーは存在する。タッグパートナーへの攻撃をわざとやるのもその一つだ。ただし、他に勝敗を決する相手が居なくなった場合はまた別。バトルロイヤルの勝利をかけて戦闘を始める様子はよく見かける。
 レーダーを見れば残りはあと一機。はやる心を抑えもせず全速力で向かう。後ろからスタンピートも追っては来るが、天空を自由に飛べるように大推力のスラスターを多数装備したウラヌスとは根本的に最高速度が違う。
 あっと言う間に最後の相手の上を横切った。
 見た事のないVPだった。5本の角状のセンサーがまるで王冠のようになった頭部を持っている。だがその角がかなりの長さであるにもかかわらず、まるで目立っていない。なぜならば、頭部に目がいく前にもっと目立つ物があるからだ。

『ウラヌスにスタンピートかいな、相手にとって不足はねぇぜ!!』

 オープン回線で、暑苦しい男の声が響きわたった。

『この“サウザンカイザー”の常勝伝説の礎となれい!』

 そのインパクトは強力だった腕や肩や足といった部分の装甲ががとてつもない大きさを持っていて、巨大な全身を更に大きく見せている。そしてその鎧は小さな円筒がぎっしりと包んでいた。
 ミサイルだ。いやになるぐらいの膨大な数のミサイルで全身を包んでいる。

「なにあれ・・・・」

 TENは、もう驚きを通り越してあきれている。

『はぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ・・・・・』

 高らかに笑い声を響かせる“サウザンカイザー”のパイロット。
 そして、スタンピートのファランクスアームが狙いをさだめ咆哮をあげる。

 ドォォォォォォォン

 “サウザンカイザー”は大爆発をおこして木っ端微塵に砕けちった。

「・・・・・・・」
『・・・どうやら外装のミサイルが連鎖的に誘爆したようだな・・・』

 なんと言っていいかわからず、しばし呆然としてしまう。
 だが、これでようやく敵が居なくなった。あとは味方だけ・・・。

「ふふふふ・・・・落ちろぉ!」

 唐突にウラヌスを転身させスタンピートに切りかかった。

『おいおい』
「タッグでさえなければ、まっさきに落としてあげてたのに・・・」

 TENが微笑みながら言ってのける。その間もウラヌスの攻撃は途切れなく続くが、スタンピートはなんとか逃げ回っている。

『先の読みやすい奴』
「うるさい!」

 TENの怒声と共にウラヌスが、一気にスタンピートへと突進した。




「ねぇ店長」
「マスター」

 聖は、五月の無言の抗議を無視する。

「・・・マスター」
「なんだい?」

 にこにこしながら振り向く店長に、五月はあきらめたようにため息をもらす。

「・・・あのVPなんですけど・・・」

 五月の指差した先では、メインディスプレイが第五バトルロイヤルの様子を映しだしていた。ちょうど高速で飛来した純白のVPが、メインストリートに踏ん張りながらヘビーマシンガンを乱射するハウラー・カスタムの首をすれ違いざまに叩き落としていく。

「ハウラーか。あれがなに?」
「いえ、そっちじゃなくて・・・・」

 画面はいつの間にか先程戦った一輪のVPが映しだされている。その左腕に装備された盾の先にはもはやカエルの形をしてないフロッガーが付き刺さっている。スウォードシールドとでも言えばいいのだろうか。カイトシールドの尖った部分を剣に置き換えたような武器だ。

「ああ、あのフロッガーかい。たしかに、もうその名が思いっきりふさわしくなくなってるねぇ」

 聖が凝視してる前で、「スタンピート」がドリフトでビルの影に入り込みながらモズの早にえと化したフルカスタムされたフロッガーを振り落としていく。大地に叩きつけられ、”それ”はそのまま爆発炎上した。

「わかってて言ってますね? 私が言ってるのはあの純白のVPの事です!」

 少し怒ったように五月が睨むが、聖は飄々とした態度をくずさない。
 いつの間にか、ディスプレイには再び純白のVPが映しだされていた。
 非常に小柄なVPだ。だが、その背に生える4枚の巨大な翼のせいで実際の倍ほどにも見える。武装はシンプルで、左右の手それぞれに持った長めのファルシオンだけのようだ。
 また、小柄な本体は女性っぽいシルエットを維持しながらも、ギリギリまで曲面を減らしてあり、また脚部は付いておらず、代わりにスカートを摸した大口径のスラスターが2機装備されている。

「TEN&ウラヌス。うちの常連だよ。高校2年生の女性で、5月生まれの17歳。ランクはSA。うちのNo.1パイロットだ。・・・今の所はね」
「パイロットは誰でもいいです。それよりも、あのVPの事なんですけど・・・」

 早口で言われた説明の大半を聴き流しながら視線をディスプレイに戻す。
 聖は少し悲しそうな顔をしたが、五月は気がつかない。五月としては、そこまで詳しい説明を聞きたかったわけではないし、何よりも説明している対象が”まだ”間違っているのだから、その詳しい説明になんらかの意図があった事に気付というほうが無理な話なのかもしれない。
 ともあれ聖は、いつも通りに微笑むと五月の言葉の続きを待った。

「・・・なんか、行動と行動の間に“ま”がありません?」
「あるね」

 驚きながらも、それを表に出さずに気楽に答える。

「やっぱり・・・。私の勘違いかなとも思ったんですけど・・・」

 と少し言葉を濁す。
 聖がその“ま”に気がついたのは多恵香がウラヌスに乗ってから1月近くもたってからだ。それを五月はほんの1週間ほどで気がついた。多恵香がウラヌスになれるまでの時間があったとしても驚くべき目のよさだ。それとも直感で感じたものか。

「あれってパイロットがあのVPを操りきれてないんですか?」

 聖も五月も視線だけはディスプレイの方に向けている。五月は聞いてみたものの、実際にそうであろうとは、少しも思っていない。時間は第5バトルロイヤルが始まってからそろそろ10分になろうかと言うころ。それなのに二人に撃破されたVPの数は二桁に登っている。

「いや、パイロットの反応にVPが付いていけてないんだ」

 ウラヌスとスタンピートがお互いに武器を向けたとき、聖がそう答えた。

「もっとも彼女は気がついてないけどね」

 苦笑しながら話す聖は、もう観客から店長へと戻っていた。つまりこれ以降はわざわざ見るほどの事が無いと言う事だろう。

「全損にされる価値あるかな?」

 二人の戦いに再出撃のVPが混ざってくると五月は小声で呟いて、ディスプレイから目を放す。

「店長」
「マ・ス・タ・ァ」
「うっ・・・・とりあえずイントルーションしてきます」

 思いっきり声を詰まらせてから、五月は、エントリーカードをそっとカウンターに置いて、コクピットに向かってあるいて行く。

「まいどありー。2番が空いてるよ」

 そんな聖の声を後ろに聞きながら、五月はコクピットへ向かった。
 時間はあと20分を切った。




『てめえら、さっきはよくもやってくれやがったな!』

 突如、大音声が響きわたった。ふとまわりに目を配ると、再出撃してきたのだろう。少し離れた丘の上で“サウザンカイザー”が仁王立ちのポーズを取っている。

「うるさいわねぇ! じゃまだからそこら辺でじゃれてなさいよ!」

 苛立ちが頂点に達したのだろう。TENも回線をオープンにして負けずに怒鳴り返す。

『な、なんやと?』
「だいたい、一撃で自爆するようなVPで私たちの前に出てくるのが間違ってるのよ。とっとリセットしたら?」

 おいおい。
 TENの口上を黙って聞いてたRUNNERもさすがに冷汗をぬぐう。相手だって、いくらなんでもここまで言われて引っ込むタイプではないだろう。

『て、てめぇ! 人が大人しくしてりゃぁいい気になりやがって!!』
「おとなしく? どこが? 回線オープンで馬鹿笑いなんてしてる奴のどこが大人しいって?」

 RUNNERの予想通りに事は進んでいく。が、TENの毒舌は止まるところを知らないらしい。徹底的に相手をやっつけていく。それこそ相手が哀れに思えるほどに。
 全損は避けたいんだがなぁ。
 溜め息と共に、呟きが虚しくRUNNERの頭の中に響く。どうあっても激戦は免れそうにない。

『てってめぇ・・・二度と大きな口が叩けねぇように叩き潰してやらぁ!!』
「それはこっちのセ・・・」


 ドォォォォォォォン

 TENが言い終る前に、“サウザンカイザー”は再び大爆発をおこして木っ端微塵に砕けちった。

『ごめんなさいね。邪魔しちゃって』

 初めて聞く声。それと共に、レーダーが一機のVPが高速で接近してくる事を示しているのに気付く。
 その機体を示すマーカーは“赤”。

「イントルーダー?」
『はい♪ TENさんですよね? ウラヌス、壊させていただきます』

 その言葉と共にその機体が丘の上に現れる。白と緑を基軸としたカラーリングを施された、フルカスタムされているであろうボルゾイ。

「エリアマスター!?」
『RUNNERさん、邪魔したら今度は逃がしませんからね♪』

 MAYはそうスタンピートに釘をさす。その言葉を聞くとスタンピートは少々躊躇したものの、全力でその場から遠ざかった。

「あ、こら! ちょっと、RUNNER!」
『時間もありませんし、そろそろ始めましょう? ウラヌスの欠点を教えて差し上げますから』

 その言葉と共にエリアマスターは、回り込むように右手の方に全速で動きだした。

To Be Continued!


あとがき
 修正版第3話です。どこが変わってるかは聞かないで(^^;
 今回は、VP一杯です。と言うか一気に人増やしすぎと言う感じもしないでもないですが。

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