〜ブルーフォレスト物語〜 「祭」

by 龍童真君






 人々の喧燥と楽の音が入り交ざり不可思議とも言える領域を形成する。
 土地を移り、時を重ねようとも、
 その領域を満たすもの ──熱い高揚感── は、変わる事も無い。

 人々は話し、笑い、踊り、奏で、商う。

 それこそが目的であり、
 それ以外もまた目的である。

 ただ、今その事を覚えている者は殆どいない。

 目的は手段を示し、手段は目的を叶える。

 だがそれもかつての事。

 ただ、人々はその短い時の為に

 ある者は馬を駆り、

 ある者は馬車び揺られ、

 ある者は自らの足で、

 引き寄せられるかのように、その地へと集う。

 その者は商いの為、

 その者は奏でる為、

 その者は踊る為、

 舞う為、観る為、話す為、買う為。

 一人一人の活気が混じり、合さり、熱気となり、
 熱気が集いし者達に更なる活気を与える。

 六つの月に散らばりし十四の時

 その一つたる今この時を間近に控え、
 この地に集いし者達は、
 体の奥底から湧き出してくる押さえられぬ熱さを宿らせ、
 この時だけに全ての熱さを注ぎ込むかのように。

 唯一つの思いを胸に、暫しの時を待つ。

 その暫しの時が流れ、
 一人の男が高みに立った。

 今、集いし全ての者達が望む唯一言を告げる為に。


   「祭りを!」