〜英雄奇憚〜

by ボウ リュウシ


「よう、おかえり」

 ゲートキーパーの声に片手を上げて答えた俺達は、入街手続きをして翠空に入った。
 なに、戦闘? そんなもん俺の勝ちに決まってるだろうが。わざわざ見るほどのもんじゃねぇよ。

「また、ぶつぶつ言ってる・・・」

 ・・・・ともかく俺の勝ちだったわけだ。

「ほら、さっさと報告すませちゃおうよ」
「わかった、わかった」

 とりあえず翠空の細かい説明の前にしなきゃならん事がある。
 俺達がまず最初に向かう先、街の中央にある大神殿。そこに、この翠空の最高責任者と言うか、勇者の総元締めと言うか。 ま、そんな奴がそこに居て、俺達は帰った時に報告する事が義務づけられているんだ。
 そいつの名は『ゼウス』と言う。
 そ、この翠空を管理してるのは『神』なんだよ。それも神話ごちゃ混ぜでな。
 たとえばさっきの『ゲートキーパー』ってのもそうだし、神殿図書館の館長は、『おもいかね』って言う日本の神だったりする。 後は、漂流(?)先の地に誰を派遣するかを管理してる『オーディーン』とか、そうそう『ブラフマー』がやってる「バー・ソーマ」には本物の“ソーマ(神酒)”があるんだぜ?
 あの不死の霊薬とか言われてた“あれ”だ。他にも食料管理をしてる『ニケ』の手作りカツがまた天下一品でなぁ。
 ・・・っと、話をもどそう。もう大神殿に着いちまったし。
 ともあれ、こんな風にごちゃまぜで『神』が居るんだ、ここには。
 何人(何神か?)ぐらい居るかって? ・・・・難しいなぁ。かなりの数がここにあつまっているって事らしいが、はっきりとはわからんな・・・。 ちなみに、俺もここへ来てから知ったんだが、この翠空に集められてる勇者たちの地元では、ここに居る『神』は必ず崇められている、もしくは居たらしい。

「はぁ・・・・」
「何を溜め息なんかついてるんだ?」
「・・・・・私、ゼウス様って苦手なのよ」

 ・・・・メイの気持ちは分かる(苦笑)
 ハッキリ言って俺も苦手なんだが、相手が相手だけにボイコットするわけにもいかないのが辛いところなんだよなぁ。
 そんな事を考えながら俺達は、謁見の間───実際にはそんな大層な物でもないんだが───の巨大な扉を開いた。


つづく